母になったわたしが「おかあさんといっしょ」と再会したのは、小児科の処置室。
点滴のあいだDVDを流してくれたのですが、30年ごしに見る「おかあさんといっしょ」は、壁にかけられた15型テレビで遠目から閲覧するにはもったいない位、大人の本気が詰まった上質なMVのオンパレードでした。
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「おかあさんといっしょ」は実にさまざまな種類のDVDが発売されているのですが、
今回おはなしするのは、"最新ソングブック"と付いた歌だけを存分に盛り込んだ珠玉のDVDのこと。
看護婦さんや患者達が、その"最新ソングブック"DVDが流れる風景をもはや日常として捉えているなか、わたしだけが夢中。
没頭しすぎて、むすめの点滴のハリが途中で取れちゃってて意味なかったのとか、今ではいい思い出です。
そんな小児科での出会い以来コツコツ買い集めて、我が家には5枚の最新ソングブックDVDがあります。これから熱く語るんかなーと思わせといて、たったの5枚。
こんなにわかでも思わず語りたくなっちゃう、それが"最新ソングブック"の魅力。
では参りましょう、たった5枚中マイベストセレクション!
※注意
映画や物語と違って、ソングブックなのでネタバレの類いではないものの、この先わりと詳細に内容を書いています。先入観なしで感動と驚きを楽しみたい!という方は、この先の記事は読み飛ばしてもいいけど、最後のアフィリリンクだけは踏んでとんでゆけ。Amazonの世界へとんでゆけ。
衣装・小道具部門
【第5位】こねこのぱんやさん—「ドコノコキノコ」に収録
本来猫派でもなんでもない動物全般アレルギー持ちのわたしではありますが、このぬいぐるみ欲しい!と思ってしまう程、猫のパペットが魅力的。
しまおまほさんのイラストをそのままに再現したような猫パペットは、ほっぺたは歪んでるし口元も半開きで超かわいい。
歌詞の楽しさとぴったりな、猫しぐさの振り付けもキュートです。
宍戸錠のようなほっぺが愛おしい。こねこねするパン生地の弾力にも注目。
【第4位】こんやこんにゃく —「ねこときどきらいおん」に収録
なぜかロックバンドのKISSをモチーフにしたような、こんにゃくバンドが登場。
ここでイチオシしたいのは、だいすけお兄さんの清志郎風メイク&高音シャウト。もう完璧にハマリ役。きっと本人もノリノリで楽しんでるであろう節がとても好印象なMVとなっています。
また、こんにゃくのシズル感たっぷりなアニメーションパートも秀逸で、そのぷりんぷりん具合もこだわりが見えて大好きです。
【第3位】もぐらトンネル —「ドコノコキノコ」に収録
もぐらトンネルは「おめでとうを100回」にも収録されているのですが、わたしは断然「ドコノコキノコ」版をおすすめしたい。
「おめでとうを100回」版はカラーリングも衣装も洗練された仕上がりに比べて、「ドコノコキノコ」版は4人の衣装もダンスも自由でバラバラなんだけど、それゆえの見ごたえがたっぷり。
4人4様の動きや小道具、衣装を観察すると何度でも楽しめるスルメ的一曲です。
【第2位】クシカツはいっぽん —「ドコノコキノコ」に収録
おフランスからはじまる串カツのうた。ですが、まさかの串カツギライ目線で展開します。
そして前代の体操のお姉さん、まゆお姉さん歴代衣装の中でもなにかと話題になる本作。
玉ねぎの被り物は外せないとしても、なんでヒゲみたいな手ぬぐいみたいな根っこ付けたん …なんで上下の服は茶色なん…
そんな事は気にしないかのようにパワフルにコミカルに踊る、まゆお姉さん。
青春時代、スクールカーストまっただ中で道化師として過ごす道を選んだわたしとしては、なんだか目頭が熱くなるものがあります。
よしお兄さんとまゆお姉さんの衣装に、愛はみじんも感じられないけれど、4人の息のあったダンスとそのフォーメーション美は目を見張るものがあり、ついつい我が家でも真似してしまう作品のひとつです。
"踊ってみた"をするには、かなりハードですが楽しいのでおすすめ。
【第1位】コチョコチョむしのコチョたろう —「ねこときどきらいおん」に収録
沖縄音階で耳に残るメロディ。子どもも覚えやすい振り付け。
そして子どものテッパンネタである「くすぐり合いっこ」を盛りまれた本作品は、親子で、おうちで、園で、真似して楽しむ事を想定したであろう、計算され尽くしたMV。
コチョコチョしにくる謎の夏虫(もしくは妖怪の類い?)という設定も、虫モチーフの振り付けや衣装もとてもかわいく、ひとたび見れば思わず歌って踊ってみたくなることうけあい。
この、わさーっと草や森をかきわける感じの振り付けがとても好きです。
アニメ・CG部門
【第4位】ママのたからもの —「ありがとうの花」に収録
これはかつてママ一年生だった頃に救われた名曲。
むすめがまだ赤ちゃんで親子ともにコミュニケーションを正確に行うのが難しい上に、連夜寝かしつけが必要で、それはそれはかわいいけどクソ大変でもあり、ヘロヘロだったとき。
曲中に出てくる名前の部分をむすめの名前に変えてこの歌をうたうと、
うす灯りの中、腕の中のむすめも嬉しそうににっこりと微笑んでくれたのを覚えています。(伝わってるー!)という喜びで疲れがふっとんだなぁ。
「そう、ママのたからもの。」と子どもにやさしく歌いかけることで、改めてその事実を噛みしめてわたし自身が癒される、とてもいい曲です。
【第3位】ほっとけーきはすてき —「ありがとうの花」に収録
声優顔負けのたくみおねえさんの歌声の真骨頂を楽しむならこの曲しかないでしょう。
たくみおねえさんの喜怒哀楽を楽しめるかわいい声、控えめだけど必要十分なゆるくってかわいい線アニメーション、子どもの気持ちをハーモニカに乗せたメロディがベストマッチな一曲です。
ほっとけーきは♪ の後をアレンジして楽しむのが、むすめ内で今ホットです。
【第2位】えがおでいこう —「ねこときどきらいおん」に収録
上質な曲、イラスト、振り付けが三位一体となった、聞くだけで元気になれるポップチューン!
4人の揃った振り付けはとてもテンポがよく、単純ながらも繰り返される動きはそれだけでなんだかクセになっちゃいます。
そこに、たくみおねえさんの跳ねるポニーテールがすこしテンポをずらす役割をしていて、いいアクセント。振り付けって奥深い世界なんだなーと思わされる逸品。
しかもこの曲作ったのは、ホフディランという抜かりなさで、中年ママホイホイな一曲でもあります。
お兄さんお姉さんのように、グーンとのけぞるのは結構ハード。
【第1位】モンスタップ —「ねこときどきらいおん」に収録
小児科で見たときに最初に衝撃を受けたのが何を隠そうこのMV。
モンスターがタップを踏むんですよ?こんなキャッチーな事がありましょうか。
切り絵のような絵本のような世界観に迷い込んだ、たくみおねえさんとだいすけおにいさん。そこではかわいいモンスターたちが、夜な夜なタップダンスを繰り広げます。
あやしげなAメロから、わくわくするモンスター紹介のBメロ、そして楽しいサビのメロディへと転調していく運び。大人も子どもも無条件で惹かれる、おどろかわいい世界観。ハイクオリティの一言につきる傑作です。
ミュージカル部門
【第5位】おどれ!どんぶり —「あっちこっちマーチ」に収録
演歌と和太鼓。日本人の血が騒ぐ条件が揃った本作。
なかでも見どころは2番のたくみお姉さんパート。
いつもは可愛いアニメ声のお姉さんですが、うってかわってコブシの本気度がすごい。目もマジ。
と思いきや、シーンが切り替わると丼のかぶりものを誰よりもキュートに着こなしたりして、お姉さんの振り幅とギャップを存分に楽しめる作品となっております。
たくみお姉さんファンの方はぜひ。
【第4位】ドラネコロックンロール —「おめでとうを100回」に収録
かなり昔からある歌なので聞いた事もある方が多いかと思います。
ウエスト・サイド物語をモチーフにさらにキレあるMVへと変貌を遂げたのが本作。
だいすけお兄さんお得意のコミカルな印象も保ちつつ、舞台を所狭しとダイナミックに踊るさまは、さすが元劇団四季団員といったところ。
生きるレジェンド、坂田おさむお兄さん時代のドラネコロックンロールを先日観たんですが、
同じ歌でも、衣装、セット、ダンス、タイトルロゴ、と時代を経て一歩でも先代を越えようとするかのように、だんだんクオリティが上がっていく各部門のプロ魂が熱すぎます。
本作以外にも「おかあさんといっしょ」にはメリーポピンズ等名作映画からのオマージュした演出があるのが、親的にはグッと来るポイントですよね。
まぁウエスト・サイド物語は観たことないんですけど。
メスは基本三毛。イケてるドラネコに遭遇した時の
2人のアラ♡なリアクションはぜひコマ送りで。
【第3位】ゴロプポジャカジャカ —「おめでとうを100回」に収録
よしお兄さんのかっこよさがギュッと一曲に詰まった名作中の名作。
ステージ衣装パートとカジュアルファッションパートに分かれているんですが、一曲でタイプ別よしお兄さんを味わえる美味しい作品です。
白いスクエア眼鏡も、肩掛けセーターも、ビビットすぎる色使いも全部難易度高くて一歩間違えばヤバすぎるファッションなのに、それを着こなすよしお兄さんよ。そしてポロシャツからこぼれ出る上腕二頭筋よ。
よしお兄さん、あれでしかも子ども好き(*番組内で子どもと一緒に全力で踊ってくれる事から勝手に推測)なんよ。最高じゃない?
とはいえ、わたしも4年間にわたる抱っこトレーニングにより、
なかなかに良いメスゴリラ級上腕二頭筋の持ち主だったりします。
【第2位】パンパパ・パン —「おめでとうを100回」に収録
ミュージカル部門であれば、これは外しては語れません。
何しろこれがTVではじめて流れた当初、twitterのママ層タイムラインがざわつくほどに、視聴者内ではちょっとした事件でした。
初見はわたしもてっきり芸人さんが「おかあさんといっしょ」のパロディかなにかをやってるのかと思いました。それくらい本家がかっ飛ばしてきた、そんな作品です。
この曲で特筆すべきは、だいすけお兄さんでしょう。こんなイキイキしてるお兄さん、ほかでは見た事ない!
もと劇団四季の才能が光る! キレてる!なんならキレすぎている位のダンス!
舞台映えするメイク、動きの緩急、歌声、どこで感情を最高潮にもっていくのか、そしてそれに応えるかのような絶妙のカメラワーク。
脇をかためるバックダンサーは、顔のないパン。リアルパン。パンの背面はちゃんと絶壁で焼き色も変えてある。なのに、のぞき穴&空気穴だけが妙に目立って、Daft Punkの「Around The World」MVを思い起こさせるようなシュールさ。
最初から最後まで徹頭徹尾全力投球な仕上がりで、エンディングを迎えるころには思わず拍手してしまいそうになります。
クリームパンのアーモンドスライス部分は網になっており、理にかなったスペック。
裏面に宿るパンのリアルさを見よ。
【第1位】やだやだツイスト —「ありがとうの花」に収録
いやいや期の子どもをモチーフに60年代のファッションやセンスで固めた、わたし至上最高のキラーチューン!
ネタ明かしをすると、やだやだの動きをツイストに見立てた一曲なんですが、この完成度は素晴らしいの一言。衣装もダンスも存分に楽しめるMVです。
たくみお姉さんがかわいいのはもちろんですが、まゆお姉さんのヘアメイク&ファッションも最高に似合っててキュート。
間奏部分も抜かりなく、小洒落たモーショングラフィックでクレジット紹介する様はまるで映画のよう。
子どもがこの歌を面白がって余計イヤイヤ言うんじゃないかしら…という親心にまで配慮されたオチが付いていて、心配性な親も一緒に楽しめちゃう、一枚うわてな仕上がりになっています。
しかも、よしお兄さんのリーゼントまで見れるご褒美映像つき。
映画のクレジットのような間奏部分。ポージングも洒落れてる。
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この記事を書くにあたって、改めてDVD5枚全部通して観たんですが、うん、どれもいいんですよね正直言うと。
「おかあさんといっしょ」はあまりにも多くの人が幼少期お世話になっていて、みんなのルーツとも言える不動の番組。けれど番組の存在自体は、いて当たり前みたいな。
そんな灯台下暗しなこのポジションに実はすごくハイレベルなものが(しかもほぼ消費コンテンツとして!)ゴロンゴロン転がっていたのだったー、という釈迦の手のひらのような衝撃の事実。
いつか番組を作る側として携われたらいいなぁと現おかあさんは夢見るのでした。