2016年 第二子の誕生により「むすめ帝国」が没落
5才のむすめは晩婚かつ待望の第一子だったのもあって、四方八方から寵愛を受け、
それはそれはのびのびと「むすめ帝国」として5年もの間、栄華を極めておりました。
それが去年暮れに突然うまれた第二子「おとうと」によって、
はかなくも彼女の大帝国は崩壊 ──。
◆◆◆
「おとうと」出産後はじまった、数日間の入院生活。
彼女にとって、”おかあさんと離れて暮らす"という初の過酷な試練です。
寂しさに涙をこらえたり、たまにこらえられなかったりしながら、
なんとか乗り越えていくむすめ。
「明日おうちに帰るからね」
お見舞いの帰り際、こらえきれずに泣き出すむすめに声をかけます。
泣きじゃくった顔のまま、駄々をこねるでもなく素直にうなづくむすめ。
健気な姿に胸が打たれ、思わずお乳が張ります。
これを乗り越えれば、前のような日常が帰ってくる ──。
むすめは自分の中でそう言い聞かせていたのでしょう。
これは序章にすぎないことも知らずに。
複雑な感情のめばえ。温和なむすめが大爆発
ようやく迎えた退院の日。
生後5日目の「おとうと」を連れて実家へ里帰りとなりました。
おじいちゃんもおばあちゃんも誰も彼もが「おとうと」誕生おめでとう一色ムード。
浮き足立つおとなたち。
いつもと違う空気。
「おとうと」ばかり見て、こっちは一瞥するだけ。
むすめ帝国の最後の砦であり心臓部だった「実家」さえも、崩落した瞬間でした。
今までとのギャップにショックが大きい様子で、駄々をこね始めるむすめ。
奥の部屋で授乳をしていると、甘えたいむすめが乱入してきました。
しかしそうは言っても、こちらは授乳中。
ちょっと待って。危ない。両手がふさがってる上にお小言しか言えません。
むすめとわたしがお互いにチクチクと牽制しあう嫌なムードの中、
夫がやさしく声をかけました。
「でも、おかあさんの入院中ずっとがんばったんなぁ。
ずっと我慢してたんやもんなぁ」
理解者からの温かい言葉に、むすめの張り詰めていた気持ちがほぐれます。
無言でうなづきながらポロポロと泣き始めました。
あーそっかそっかそうだよね。よしよしがんばったね。大好きだよ。
なぐさめる時でさえ、相変わらず授乳しながら片手間で頭をなでるわたし。
◆
だんだんと怒りが混じってくるむすめの泣き声。
大声でわめきながら感情をあらわにして泣き始めました。
ふだんは本当に温和なタイプの”良い子”なむすめでして、
こんな風に感情を爆発させるところを見るのは親のわたしも初めて。
その姿を見て、むすめがどういう気持ちでいたのか、どれだけ我慢を重ねていたのか、
やっと理解できた気がしました。
『そうだよね......!ごめんね、ちゃんと見てあげてなくてごめんね......!』
わたしもとうとう涙を堪えられなくなり、授乳を中断。
むすめと、わたしと、授乳を中断された「おとうと」と。
3人でスクラムを組むように固まって泣いたのでした。
毎晩えーんえーんオギャーの大合唱。混乱の時代がつづく
里帰りを終え「おとうと」を迎えた日常が始まりました。
久々の新生児のお世話は慌ただしくも楽しい日々。
ですがその一方でお姉ちゃんである「むすめ」とのコミュニケーションは、
やっぱりどうやっても片手間や合間になりがちです。
「かわいがってもらってない」
「あまえたい」
「(お母さんの入院中)がんばったのに......」
むすめがそう漏らすようになりました。
以前とおなじように「かわいいね」「えらいね」「すごいね」
ちゃんと声をかけているつもりなのに、そんな風にうけとってしまうむすめ。
◆
寝かしつけの時には絵本を2冊ほど読み、添い寝で就寝。
おとうとが生まれる前までは、そんなフルコースの寝かしつけをしていたのですが、
今やそれも不可能。
寝かしつけをしてほしいむすめとお乳をせがむ「おとうと」が
エーンエーンおぎゃーの大合唱。
(これは困ったぞ……)
毎晩これが続くのかと、わたしの心もさすがにすり減ります。
むすめにどう接してあげるべきか、どうケアしてあげるべきか悩む日々が続きました。
親子でのぼる、愛情の階層
心の準備期間は十分に取ったはず、なんです。
産まれる数ヶ月前に「おねえさんになるひ」というまさにドンピシャな絵本も買いました。
むすめもこの絵本を気に入ったようすで、毎晩読み聞かせをせがんでは
主人公と自分とを重ね合わせていました。
赤ちゃんの誕生で情緒不安定になってしまうシーンでは「こんなんいわへんよ?」と
冷静でとっても優等生だったむすめ。それゆえ安心していたのもあります。
*もうすぐおねえさんになる主人公が、おねえさんになることへの不安と葛藤を描いた絵本。赤ちゃんなんかいらない!!どっかいっちゃえと大声で泣くシーンが印象的。
- 作者: ローレンスアンホルト,キャサリンアンホルト,Laurence Anholt,Catherine Anholt,吉上恭太
- 出版社/メーカー: 徳間書店
- 発売日: 1998/06
- メディア: 大型本
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頭では(よきお姉ちゃんになるべき)と分かっているのに気持ちがついていってない。今までは自分が”特別”だったのに、おとうとが”特別”になってしまった。
そんな風に感じているように思いました。
お姉ちゃんであるむすめもまた特別なんだよ、ということを、
わかりやすく強烈に伝える方法ってないものか ──。
わたしもむすめも、赤ちゃん時代からの延長線で続いていた、”かわいい”一点張りの
愛情を卒業して、また違う階層の愛情へと登る時がやってきたのでした。
子どもの日常をたたえよう!おうちで表彰式
ちゃんと見てますよ、認めていますよ、
そう伝える方法を探してたどり着いたのが「表彰式」。
「お片づけをがんばった」「あいさつができた」
そんな日々のちいさながんばりを拾い上げ、きちんと文章化。
面と向かい、他人にも聞こえるよう高らかに読み上げます。
ちいさなおとうとにはまだ無理、お姉ちゃんだからできるこの”特別”な時間。
自分が子どものころから慣れ親しんだ、この「表彰式」。
子どものやる気を育てる効果はばつぐんです。
忘れちゃいけないのが、表彰式といえばおなじみのBGM「得賞歌 - YouTube」。
ボリュームをやや大きめにしてバックに流せば、
読み上げる側も盛り上がること間違いなし!
小さながんばりを拾い上げて飾ってあげよう
わたしが個人的におすすめなのは、
できるだけより些細で具体的なことを表彰してあげること。
かけっこで一番になりました、よりも、
朝のフレンチトーストが10分で食べられた。冷める前に食べられて素晴らしい!
お手伝いをがんばりました、よりも、
ゆたんぽを2つも運んでお布団の中に入れてくれました。重たいのにすごい!
といった具合です。
あとで見返したときに日記のように振り返ることができるし、
子どもが自分で「つぎに褒められること」を連想しやすいようで、
自力で考えてたどり着く力が付いたように思います。
過去の表彰状は専用ファイルにすべて保管。
表彰状がどんどん増えていくディアゴスティーニのような喜び。
(また表彰されたい!)
そんな前向きな気持ちになるようで、
日常生活の中で、ほかにもがんばれることはないか、挑戦できることはないか、
手伝えることはないかと積極的に気を回してくれて非常にうざかわいいです。
ちなみに「朝食のフレンチトーストを10分で食べられてすごい!」を表彰したところ、
遅刻しそうな日に限ってフレンチトーストを焼くはめになってしまい、
これだけは内心失敗したと思っています。
定食屋のように気軽に注文するむすめ。
あとがき
現在、4人家族生活が始まって2ヶ月。当初、荒れ模様だったむすめも
だいぶ落ち着いてきてくれて心底ほっとしております。
赤ちゃんが増えることで、私みたいに(これから前途多難だな…)と
げっそり疲弊してるママ、大丈夫!
ちいさなお兄ちゃんお姉ちゃんもすこしづつがんばってます!
ダウンロードおまけ
頼まれてもいないのに、またもや「おなじといっしょ」ダウンロードサービス。
今回はオリジナル表彰状テンプレートを用意しました。
こんなものを喜ぶのは、たぶんうちの子だけ!
下の画像をクリックするとA4サイズのPDFが開きます。